特別支援学校の卒業後の進路は?「働く」「暮らす」の選択肢をやさしく解説
「卒業したあと、この子はどこに行くんだろう」
特別支援学校の高等部に通うお子さんを持つ保護者の方にとって、卒業後の進路は、早い段階から頭を離れない問題ではないでしょうか。学校にいる間は先生がいて、時間割があって、居場所が決まっている。でも卒業したら、その枠組みがなくなる。
「就職できるのかな」「福祉サービスってどんなものがあるの?」「住む場所はどうなる?」——次から次へと疑問がわいてくるのに、まとまった情報がなかなか見つからない。そんな声を、本当によく耳にします。
この記事では、特別支援学校の卒業後にどんな進路があるのか、「働く」と「暮らす」の両面から整理しました。お子さんの将来を考えるための地図として、ぜひ活用してください。
卒業後の進路、実際にはどうなっている?
6割以上が福祉サービスを利用
文部科学省の「学校基本調査」によると、特別支援学校高等部を卒業した方の進路は、おおむね以下のような割合です。
| 進路 | 割合(目安) |
|---|---|
| 就職 | 約30% |
| 社会福祉施設等への入所・通所 | 約60% |
| 大学・短大等への進学 | 約2% |
| 教育訓練機関等 | 約1% |
| その他(家事手伝い・進路未定など) | 約7% |
一般の高校では大学・短大等への進学者が多い一方、特別支援学校高等部では、福祉施設等への入所・通所が約6割、就職が約3割という進路状況になっています。
7割以上が大学等に進学するのに対し、特別支援学校では6割以上が福祉サービスの利用という進路をたどります。就職する方も約3割いますが、それでも一般の高卒就職率(約18%)より高いという特徴があります。
つまり、卒業後の進路を考えるうえで最も大切なのは、「どんな福祉サービスがあるのか」を正しく知ることなのです。
卒業後の「働く」「暮らす」を支える4つの選択肢
「働きたい」という気持ちはあるけれど、いきなり一般企業で働くのはハードルが高い——そんな方のために、段階的な選択肢が用意されています。
| サービス名 | ひとことで言うと | 対象の目安 |
|---|---|---|
| 一般就労(障害者雇用含む) | 一般企業で雇用契約を結んで働く | 就職活動ができる方、企業実習で評価された方 |
| 就労移行支援 | 就職に必要なスキルを最大2年間で身につける | 一般就労を目指したいが、まだ準備が必要な方 |
| 就労継続支援A型 | 雇用契約を結び、支援を受けながら働く | 一定の作業能力があり、最低賃金以上で働ける方 |
| 就労継続支援B型 | 雇用契約なし。自分のペースで作業に取り組む | 体力やペースに不安があり、ゆっくり進みたい方 |
| 生活介護 | 日中活動として創作・生産活動や機能訓練を行う | 常時介護が必要な方、日中の活動の場が必要な方 |
迷ったときの判断のヒント
「うちの子はどれに当てはまるんだろう?」と迷われる方が多いのですが、在学中に答えを出す必要はありません。
学校の進路指導の先生、相談支援専門員、そして福祉サービスの事業所。この3者と情報を共有しながら、お子さんの希望・体力・特性に合った進路を一緒に探していくというのが、いちばん現実的な進め方です。
また、2025年10月からスタートした「就労選択支援」という新しいサービスでは、専門スタッフがお子さんの希望や得意なことを整理して、どの形の就労がよいのか、より良い選択ができるよう支援します。
最適な就労サービスを一緒に選んでくれます。「B型とA型、どっちがいいんだろう」「就労移行支援に進むべき?」といった判断を、プロと一緒にできる仕組みです。
卒業後の「暮らす」を支える選択肢
住まいのかたちは一つじゃない
卒業後の進路というと「働くこと」に目が行きがちですが、「どこで暮らすか」も同じくらい大切なテーマです。
| 暮らし方 | 特徴 |
|---|---|
| 自宅(家族と同居) | 卒業後もそのまま家族と暮らす。日中は就労支援等に通う |
| グループホーム | 地域の住宅で少人数で暮らす。スタッフが生活をサポート |
| 障害者支援施設(入所施設) | 施設に入所し生活支援を受けながら、日中は生活介護などのサービスを利用する |
| 一人暮らし+ヘルパー | 自分のアパートで暮らし、必要な支援をヘルパーが提供 |
卒業後すぐにグループホームや入所施設に入る方は少数派で、多くの方はまず自宅から日中の活動先に通うかたちでスタートします。
ただ、いずれ親御さんが高齢になったとき、お子さんの暮らしをどうするかという問題は必ずやってきます。在学中から「将来の暮らし方」についても、情報を集め始めておくことをおすすめします。グループホームの見学は、卒業前から見学や相談を受け付けているところもあります。卒業のずっと前から可能です。
在学中にやっておきたい5つのこと
卒業後の進路をスムーズに進めるために、高等部の早い段階から準備できることがあります。
| 準備 | 具体的にやること |
|---|---|
| 1. 進路見学に参加する | 学校が設定する見学会に加え、気になる事業所に個別で見学を申し込む。複数見ることで比較ができる |
| 2. 企業実習・施設体験を活用する | 高等部では実習の機会がある。「ここに通えそうか」を本人が肌で感じることが大切 |
| 3. 相談支援事業所とつながる | 卒業後のサービス利用には「サービス等利用計画」が必要になる場合がある。その計画の作成や利用開始後の見直しを支援してくれるのが相談支援専門員 |
| 4. 受給者証の手続きを知っておく | 福祉サービスの利用には受給者証が必要。卒業の数ヶ月前から申請手続きを始める |
| 5. 「暮らし」の選択肢も調べておく | グループホームの見学、障害年金の申請準備など、卒業後の生活基盤づくりを早めに |
特に3番目の相談支援事業所は、卒業後の生活全般を一緒に考えてくれるパートナーです。「困ったときに電話できる先がある」というだけで、保護者の方の安心感はまったく違います。
「学校のうちに」と「卒業してから」をつなぐ視点
特別支援学校の大きな強みは、在学中から進路に向けた支援が手厚いことです。進路指導の先生が事業所とのつなぎ役になってくれたり、実習先を紹介してくれたり。この「つなぎ」があるうちに、できるだけ多くの情報と人脈を得ておくことが、卒業後の安心につながります。
ただ、卒業した瞬間にその「つなぎ」はなくなります。だからこそ、学校以外の支援者(相談支援専門員、福祉事業所、地域の支援センター)との関係を、在学中から作っておくことがとても重要なのです。
卒業は終わりではなく、新しい生活のスタート。そのスタートを安心して迎えられるかどうかは、在学中の準備にかかっています。
よくある質問
Q. 進路はいつごろから考え始めればいいですか?
できれば高等部1年生のうちから情報収集を始めるのがおすすめです。2年生で見学や体験を重ね、3年生で具体的な進路を決める——という流れが理想的です。ただ、遅すぎるということはないので、今からでもまずは見学に行ってみてください。
Q. 卒業後にすぐ就職できなかった場合はどうなりますか?
就労継続支援B型や生活介護など、就職以外の福祉サービスを利用しながら、自分のペースで力をつけていくことができます。就労移行支援や就労継続支援B型で経験を積みながら、将来的に一般就労にステップアップする方もたくさんいます。
Q. 進路先が合わなかった場合、変更はできますか?
できます。福祉サービスは固定ではなく、状況に応じて変更が可能です。相談支援専門員と一緒に、より合った事業所やサービスを探し直すことができます。
Q. 親が働いている場合、日中の送迎はどうなりますか?
多くの就労支援事業所や生活介護事業所では送迎サービスを提供しています。また、グループホームから事業所に通う場合は、自力通所の練習をすることもあります。事業所ごとに対応が異なるため、見学時に確認してみてください。
茨城補成会のご紹介|学校から社会へ、切れ目のない支援
茨城県東茨城郡茨城町にある社会福祉法人茨城補成会は、特別支援学校の卒業後の進路として、「働く」「暮らす」「過ごす」のすべてをカバーする支援体制を持っています。
| お子さんのステージ | 補成会のサービス | 特徴 |
|---|---|---|
| 学校在学中 | ひぬまきっず(放課後等デイサービス・児童発達支援) | 友部特別支援学校のお子さんも多数利用。療育プログラムで社会性・生活力を育てる |
| 卒業後「働く」 | はたらくガッツ村(就労移行支援・就労継続支援B型) | 農作業・軽作業・製菓など多彩なプログラム。一般就労へのステップアップも支援 |
| 卒業後「過ごす」 | あつまれガッツ村(生活介護) | 日中活動の場として表現活動(創作)・生産活動や機能訓練を提供 |
| 卒業後「暮らす」 | あつまれガッツ村・グループホームあつまれガッツ村ひぬまの杜 | 地域の中で自分らしく暮らせる住まい。スタッフが24時間サポート |
| 入所が必要な方 | 涸沼学園・石崎学園(障害者支援施設) | 生活全般の支援と日中活動を一体的に提供 |
この表を見ていただくとわかるように、子ども時代から大人になったあとまで、一つの法人の中で一貫した支援を受けられるのが茨城補成会の最大の強みです。
「ひぬまきっず」で小さいころから顔を知っているスタッフが、大人になっても身近にいてくれる。事業所が変わっても、法人内で情報が共有されているから、ゼロからの説明が要らない。このつながりが、本人にとっても保護者にとっても、大きな安心になります。
「卒業後の進路が気になるけど、何から始めればいいかわからない」——まさにその段階でご相談ください。見学・体験は随時受け付けています。学校から社会へ、切れ目のない支援を、茨城補成会がお手伝いします。
最終更新日:2026年7月22日